NTT株はどうなの?今後の予想

1. NTT株の現状クイックチェック
まず、現時点の基本データを押さえます。
指標 | 値 |
---|---|
株価 | 159.1円(2025/09/26) |
アナリスト予想平均目標 | 約178円(約+11.9%上昇余地) |
直近の決算 | 売上・営業利益は微増、純利益も前期比5.5%増 |
リスク材料 | 地域通信事業の利益減少見込み |
成長ドライバー | IOWN構想、データセンター強化、非通信事業拡張 |
企業再編動向 | SBI持株の取得、NTT Data の残り株買収検討 |
このあたりを踏まえて、「メリット」「リスク」「株価予想」「買い方戦略」を整理していきます。
2. NTT株を買うメリット
NTT株には、他の通信株にはない魅力がいくつかあります。
✅ 安定したキャッシュフロー基盤
NTT は固定通信・通信ネットワークを多数保有しており、回線契約・通信インフラ使用料が定常収入になります。このベースがあるため、景気変動でガタガタ揺れにくい。
✅ 成長戦略に資金をふんだんに投入している
- IOWN構想(次世代通信インフラ:通信容量拡張・低遅延ネットワーク)への取り組み
- データセンター、IoT、DX(デジタルトランスフォーメーション)分野への大規模投資(2022‑2027年で8兆円規模)
- 通信以外の“非通信事業”への拡張を狙っており、旧来の“電話・回線中心”企業から脱皮しようとしていると評価されている
つまり、既存収入の安定性を維持しながら成長領域を育てようという二刀流戦略を取っている点が強みです。
✅ 統合・買収余地あり
- NTT は NTT Data の残株を買収する可能性を検討しているとの報道あり
- また、NTT が SBI 株を取得するなど、金融・IT分野との連携を強める動きも出てきています
こうした「グループ内再編」「シナジー創出」が成功すれば、評価倍率(PER, PBR)が引き上げられる可能性あり。
🔍現在の状況と報道の整理
まず、買収に関する確かな情報をおさらい:
- NTT は NTT Data の残り株式を約3 兆円規模で買収する方針を報じられています。報道によれば、既に NTT が NTT Data に対して 30〜40%程度のプレミアムをつけての買収を検討しているとのこと。
- この買収が実現すれば、NTT Data は上場廃止(Delisting)になる可能性が高く、グループとしての統合と運営効率化を狙う動きと見られています。
- 一方で、信用格付け機関はこの買収により NTT の財務負担が重くなるリスクを指摘しており、格付け見直しの可能性を示唆しています。
これらを踏まえて、買収が株価に与える影響を、メリット側とリスク側から見ていきましょう。
✅ 買収が株価にポジティブに働く可能性
1. シナジー効果による利益拡大期待
NTT と NTT Data を完全統合すれば、
- 重複するバックオフィス機能や管理部門の整理
- 資源(技術、顧客基盤、データセンターなど)の共有
- 意思決定の迅速化、統制の強化
などが期待できます。これらがうまく機能すれば、利益率の改善や成長投資余力の拡大につながる可能性があります。
2. プレミアム買収価格反映
報道ベースで、買収価格には 30〜40%のプレミアム が想定されています。つまり、NTT Data の株式を買う際に市場から高い価格で株を買い上げるわけで、その分、少なくともそのプレミアム分、NTT 側の企業価値が上積みされる期待があります。
3. 市場の期待とモメンタム
買収発表自体がニュースになるため、投資家心理を動かします。「大手通信+IT統合の流れ」「AI・DXの強化」などテーマ性が強いため、業界マルチプル(IT企業の評価倍率)が上昇する可能性もあります。すでに買収報道で注目が高まりつつあり、株式市場でも期待が先行する傾向があります。
⚠️ 買収が株価にネガティブに働く可能性
1. 資金調達負担と借入増加による信用リスク
買収代金が巨額であるため、NTT は借入を増やす必要があります。これにより、債務比率(Debt/EBITDA のような指標)が悪化する恐れがあります。格付け降格リスクも指摘されています。
格付けの低下や利子支払負担の拡大は、株主還元(配当性向)や投資余力を圧迫する可能性があります。
2. 統合失敗リスク・コスト過剰
組織統合、文化融合、システム統合など統合後の統制がうまくいかない場合、統合コストや解消コストが膨らむリスクがあります。こうした「統合コスト失敗」が、株価にネガティブ材料となることも。
3. 希薄化リスク・株主構成の変化
買収の際、追加資金調達や株式発行が絡む可能性があり、それが株式の希薄化につながると、既存株主にとってはマイナス要因になります。
4. 規制・反トラストリスク
通信インフラや IT 統合企業は、独禁法や電気通信法、公共政策的な制約を受けやすいです。完全統合後の市場支配力強化を懸念して、規制当局が制限をかけてくる可能性も無視できません。
📊 予想シナリオ:買収後の株価動向
以下はあくまでシミュレーション的な予想ですが、買収を前提にしたシナリオを複数用意しておきます。
シナリオ | 期間 | 想定株価水準 | 主要ドライバー |
---|---|---|---|
成功統合シナリオ | 3〜5年 | +30〜50%上昇見込み | 統合による利益改善、IT・DX部門の拡大 |
中立シナリオ | 2〜4年 | +10〜20%上昇 | プレミアム反映・市場期待で上昇 |
リスク顕在化シナリオ | 1〜3年 | 停滞またはマイナス | 借入負担、統合失敗、規制リスク |
たとえば、今(159円水準)を起点とすると、成功統合シナリオでは “200〜240円水準” を目指せる可能性が見えてきます。ただしこれは、統合が順調に進むという前提付きです。
🐢まとめ:買収=チャンスだが“過信”は禁物
- NTT が NTT Data を完全子会社化する動きはすでに現実味を帯びており、株価にはポテンシャルなプラス要因。
- ただし、買収には多くのリスク(資金負担・統合コスト・希薄化・規制など)が伴うため、慎重さも必要。
- 私の予想としては、統合が上手くいけば 3〜5年で株価 +30〜50%程度の上昇余地があると見ています。
3. リスク・注意点(レア視点含む)
魅力も多いですが、落とし穴もあります。投資時に見落としがち/あまり語られないリスクも含めて見ておきましょう。
⚠️ リスク①:通信事業の構造的低成長
地域通信事業は人口減少・光ファイバー代替・通信自由化などで伸び悩みが予想されており、NTT東日本・西日本の赤字懸念が既に材料となっているという指摘あり。
この“本業の停滞”が足を引っ張る可能性。
⚠️ リスク②:投資の先行負担と資本コスト
大規模投資(IOWN やデータセンター拡張など)には膨大な資本が必要で、利子負担や減価償却コスト、技術投資の失敗リスクがあります。金利が上がる局面だと資金コストが重くなります。
⚠️ リスク③:統合・買収で株主価値希薄化の懸念
NTT Dataの残り株を買収する動きは、資金調達手段や買収価格、株式の希薄化リスクを伴います。もし買収が過剰資金投入になれば株価にマイナス影響も。
⚠️ リスク④:イノベーションの外部競争・技術変化
IOWN構想や次世代通信技術には、他国企業やベンチャー企業からの技術競争があります。NTTが優位を維持できるかどうかは不透明。
⚠️ リスク⑤:規制・政策リスク
通信インフラは国家政策・電気通信法・周波数割り当てなど、政府規制に深く関係します。政策変更や通信規制、公共事業との絡みがリスク要因。
4. 将来株価予想・上がるシナリオ
アナリストの中では、平均目標株価が 178円(約11.9%の上昇余地)という見方があります。
しかし、これを鵜呑みにするのではなく、シナリオ別に考えてみましょう。
シナリオ | 想定期間 | 株価レンジ | 要因・条件 |
---|---|---|---|
ベースライン | 3〜5年 | 200円程度 | 現在の投資計画と成長分野が順調に進展。通信基盤の改善。 |
成功シナリオ | 5〜10年 | 250〜300円超 | IOWN構想が実用化、非通信部門が拡大、買収統合がプラスに働く。 |
リスクシナリオ | 3〜5年 | 120〜160円 | 投資コストが足を引っ張る、通信部門の停滞、規制リスク。 |
現実的には、「3〜5年で200円ラインを目指す」ぐらいが妥当なレンジかな、というのが私の読みです。ただし、成功シナリオを引ければもっと上もあり得ます。
5. 投資戦略:どう買うか・いつ買うか(カメさん流)
🛠 戦略①:段階的積立買い
一括買いはリスクが高いため、少しずつ分割して買うのが賢明。例えば、毎月数千円分ずつ買って平均取得単価を分散させる。
🕰 戦略②:押し目を狙う
通信株は景気サイクル・金利変動に敏感なので、株価調整(市場低迷期)を狙って買付を行うといい。
🔍 戦略③:連携ニュースをチェック
NTT が SBI 株式取得 や NTT Data 完全子会社化を狙っているという動きは、今後の評価のキーになります。これらのニュースタイミングでポジションを調整するのも手。
⏳戦略④:長期保有&配当再投資
ある程度持ち続けて、配当を受け取りつつ、利益が出たら再投資。通信インフラ株は「ガチホ向き銘柄」と言われることが多いですね。
6. 結論:今から始めるなら「持っておきたい銘柄」だが、過信は禁物
NTT株には「守りと攻めのハイブリッド性」があり、通信インフラ基盤での安定性 + 成長分野への投資を両取りしようとしている野心があります。
ただし、過剰な期待は禁物。通信の停滞・投資リスク・買収リスクなどを頭に入れつつ、分散投資を意識すべきです。
私の読みとしては、「3〜5年で200円前後を目指す可能性あり。ただし日々チェックを怠れない銘柄」といったところです。