📉今の状況を押さえよう:JDIの基礎スペック
まず、現在のJDI(6740)の株価データを見ておきます。
- 株価:23円(現在値)
- 出来高:かなり厚みあり
- 最少購入代金:2,300円(100株 × 23円)
- 企業概要:ディスプレイ・液晶関連(研究・製造・販売)を中心に、最近はeLEAP・HMOなどの新技術に舵を切っている模様
- 経営状態:赤字続き・構造改革中。2025年7月には経営再建・新体制を推進との報がある
このように、JDIは“再建中・リスク高め”の銘柄という印象が強いですが、逆に言えば“逆張り・復活期待”を狙いたい人には面白い材料を含んでいます。
✅JDIを買う“メリット”は何か?
- 株価の下値余地が限定的な環境
23円という価格は、既に投資家目線では“非常に割安”と捉えられやすいレンジです。失うリスク vs 得る可能性を評価するなら、底値期待の妙味があります。
- 再建策と技術転換の種
JDIは「eLEAP」や「HMO」など、新技術・知財重視の事業ポートフォリオ変革を掲げています。成功すれば収益性や成長性を劇的に改善できるポテンシャル。
- 不人気株ならではの過小評価
多くの投資家が敬遠している銘柄である分、少額でも大きく動く可能性がある。逆に言えばボラティリティが高いということ。
- “日の丸液晶”のブランド力(過去の信頼)
JDIはもともとソニー・東芝・日立の液晶事業を統合して設立された会社。国内産業保護・国策期待も時折素材になります。
⚠️リスク・注意点は山ほどある
- 連続赤字体質・借入・財務不安
11期連続赤字の実績あり。債務超過に陥る可能性も常に視野に入れるべき。
- 業界競争激化
液晶・ディスプレイ市場では中国・韓国の技術力が強く、価格競争・コスト競争で苦しくなることが多い。
- 技術転換の失敗リスク
新技術を打ち出しても市場が受け入れない、コストが割に合わないなどの失敗可能性。
- 流動性リスク
株価が低いため、売買スプレッド・流動性が低く、思いどおりに売買できない可能性。
- 先行材料の剥落
再建ニュースや技術発表など、材料だけで上がって、実態が追いつかなければ急落することもある。
📊どのくらい上がるか?シナリオ予想
以下は、楽観・中立・悲観シナリオを想定したレンジ予想です(あくまで仮説)。
シナリオ | 前提条件 | 目標株価(円) | コメント |
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楽観 | 再建成功・技術転換成功・市場評価回復 | 80〜120円 | 約4〜5倍超え。復活銘柄として注目されれば可能性あり |
中立 | 経営改善が見える形になる | 40〜60円 | 現在の2〜3倍レンジ。割安リスクを取りつつ安全に乗るなら狙い目 |
悲観 | 経営失敗・業績改善できず | 5〜20円 | 下落リスクも高く、最悪のケースを見ておくべきレンジ |
(注:これらの予想は、現在の業績・市場評価・技術ロードマップなどを元にした仮説であり、確定値ではありません)
💡レア情報・裏ネタ:プロしか知らないかもしれないポイント
- JDIは「医療機器向けディスプレイ・生体情報測定技術」領域にも手を伸ばしつつあるという記載が会社概要に見られます。つまり、”医療 × ディスプレイ”というクロス分野が実は社内に埋まっている可能性。
- 国内の工場の一部売却や設備再配置を検討しており、土地や不動産資産の売却益に期待するリストラ型スキームも言われています。
- JDIの時価総額は約 892 億円(23円 × 発行株式数)という情報があるため、仮に復活すれば“蘇る小型株”として多くの資金が流入する可能性があります。
🐢カメさん的まとめ:JDIは“賭ける価値あり”だが中毒性あり
- 大きく上がる可能性も否定できないが、 リスクが極めて高い
- “復活期待”で持つならポートフォリオの小枠に抑えておくべき
- 最も現実的なのは「中立シナリオ」での持ち合い → 株価40〜60円レンジを目標にして小刻みに利確入れながら育てる方法
📊 「筆頭株主いちごトラスト」まず公式資料で確認されていること
- JDI の株主構成(2025年3月末時点)によれば、いちごトラストが議決権ベースで 78.20%を保有しており、筆頭株主・支配株主であることが明示されています。
- JDI 側も、2025年5月に「MOU with Ichigo Trust to Strengthen JDI Financial Position(JDI といちごトラストとの財務基盤強化の基本合意)」を発表しており、モバラ工場(Mobara Fab)の譲渡・知財の移転を通じて約 650 億円の債務をイチゴへの“ノンキャッシュ返済”としつつ、成長戦略の資金を確保する構造を打ち出しています。
- また、同時期に 第14回新株予約権(ワラント) を発行する計画も明らかにされており、いちごトラストが追加出資できる形を整えつつ、議決権構成を維持・強化する方針を示しています。
これらから、いちごトラストは単なる投資家ではなく、「再建支援者兼支配株主」のポジションを明確に取っていることがうかがえます。
🔍 なぜいちごトラストは “かなりリスクのあること” を選んだのか?その戦略仮説
なぜ、財務的に苦しい JDI に大きな投資・支援をするのか――それを理解するには、いちご側の戦略を推測する必要があります。以下はその仮説とエビデンスを交えた分析です。
仮説 | 内容 | 裏付け・材料 | リスク・注意点 |
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リストラクチャ → 資産売却スキーム | いちごトラストは、JDI の工場や不動産、知財(特許)といった固定資産を取得・再編し、それを活用して JDI の借入金を返済する構造を構築 | MOU ではモバラ工場と知財をいちごに譲渡 → JDI が債務をノンキャッシュで返済するという条項あり。 さらに知財移転+使用ライセンス契約の形で JDI に使用権を残す構造も企図 | 譲渡価格が妥当かどうか争点になりうる。少数株主保護との衝突。固定資産が過大評価されるリスク |
ワラント発行による持株比率維持・増強 | JDI が第13回ワラント発行時に行使価格が株価を上回っていて行使されずに終わったため、今回第14回ワラントをより低い行使価格でいちごに割り当て、議決権比率を維持または増加させる | 発表資料では「第14回ワラント割当 → 行使価格 25円」などの条件が示されており、いちごの議決権比率は “ほぼ 78.19%” で変わらないと見込まれている旨が言及 また、13回ワラントをゼロ価値で放棄する条項も含む。 | ワラント行使に必要なキャッシュフローがいちごにあるか。株価がワラント行使価格まで上昇しないと意味が薄い |
戦略転換支援・シナジー確保 | いちごトラストは不動産・資産運用に強い企業とも関連があり、工場土地・設備・知財・再構築を通じて資産を最適配置し、JDI の再建後キャッシュフローを取り込むことを狙っている | JDI 事業戦略「BEYOND DISPLAY」を掲げ、ディスプレイ事業に留まらずセンサー・パッケージング分野への拡張を目指している点。資金調達を含めた支援関係が MOU に明記。 JDI のモバラ工場停止 → 石川 MULTI-FAB に集約、経営効率改善を図る方針。 | 戦略転換がうまくいくかは未知数。市場が新事業を評価するまで時間がかかる |
✅ 総括:いちごトラストが筆頭株主になった“本当の狙いと危うさ”
- いちごトラストは、単なる株式保有者ではなく“再建支援者・資本構造整理者”の立場を取ろうとしている
- 工場・土地・知財の譲渡・再編スキームによって、JDI の債務を圧縮しつつ、いちご側が将来キャッシュを得る構造を狙っている
- ワラント発行などを通じて議決権比率を維持・強化する設計も見える
- ただし、少数株主保護、公正価格、資産評価、戦略成功リスクなどのハードルは高い