間違っていたら、ただちに撤退するのみだ
~マイケル・プラットの名言に学ぶ、損切りの本質~
ブルークレスト・キャピタル・マネジメントの創設者、マイケル・プラット氏。
世界有数のヘッジファンドを率いた彼が『マーケットの魔術師 エッセンシャル版』の中で残した言葉があります。
「間違っていたら、ただちに撤退するのみだ。」
シンプルながら、この一言はすべてのトレーダーに突き刺さります。
特にFXの世界では、“撤退のタイミング”こそが生き残りを左右する要因です。
● なぜ“ただちに撤退”が重要なのか
多くの投資家が負ける理由は、「間違いを認めるのが遅い」ことにあります。
含み損を抱えたとき、人は「もう少し待てば戻るかもしれない」と希望的観測を持ちやすい。
しかし、相場は個人の希望とは無関係に動きます。
例えば、ドル円を150円で買いエントリーしたものの、経済指標の悪化で一気に148円まで下落したとします。
ここで「もう少し戻るはずだ」と放置すれば、149円に戻るどころか147円、146円へと損失が拡大する可能性がある。
10万円の損失が、数時間で30万円に膨らむことも珍しくありません。
このとき、プラット氏の言葉が響きます。
「間違っていたら、ただちに撤退するのみだ。」
自分のシナリオが崩れた時点でポジションを閉じる。
それが、次のチャンスを掴むための“生き残るルール”なのです。
● “間違い”を受け入れることが、トレーダーの成長を促す
マイケル・プラット氏は別の箇所でこうも語っています。
「聖杯探しをするよりも、負けることもあると認めた上で取引手法を探した方が、トレード技術も積み上がりやすくなる。」
これは、「完璧な手法を追い求めるよりも、負けを前提にした戦略を持て」という教えです。
どんなに優れたトレーダーでも、勝率100%は存在しません。
プロの世界では、“いかに損失を小さく抑えるか”こそが実力の証なのです。
たとえば勝率50%でも、
・1回の損失=-5,000円
・1回の利益=+10,000円
というリスクリワードなら、長期的に資金は増えていきます。
損切りを恐れず、間違いを早めに認めることで、
結果的に「トータルで勝つ」トレードができるようになります。
● 具体例:損切りが遅れたトレーダーと早めに撤退したトレーダー
Aさん:損切りをためらったケース
ユーロドルを1.0800で買い。
損切りラインを1.0750に設定していたが、
「一瞬の下げかもしれない」と根拠のない自信で放置。
結果、1.0650まで下落し、10万円の損失。
Bさん:早めに撤退したケース
同じく1.0800で買い。
予定通り1.0750で損切り。損失は2万円。
しかし翌週、再び上昇トレンドを確認して1.0700で再エントリー。
今回は1.0900まで上昇し、+10万円の利益。
この結果、Bさんはトータル+8万円。
一方、Aさんは「損切りできなかった後悔」だけが残る。
この違いは、“撤退の決断”ができたかどうかに尽きます。
● “勇気ある撤退”が未来を守る
損切りは「負け」ではありません。
むしろ、未来の資金を守るための“防御行動”です。
FXにおける最大の敵は「自分の感情」。
損を確定させたくないという心理が、冷静な判断を奪います。
だからこそ、ルールを決め、シナリオが崩れたら機械的に撤退する。
それが生き残るための唯一の方法です。
● まとめ
マイケル・プラット氏の
「間違っていたら、ただちに撤退するのみだ」という言葉は、
相場における“謙虚さ”と“勇気”を教えてくれます。
- 予想が外れたら、すぐに撤退する
- 聖杯を探さず、負けを受け入れて技術を磨く
- 小さな損失を恐れず、資金を守る
トレードの本質は、“勝つこと”よりも“生き残ること”。
撤退できる人こそが、次のチャンスを掴む投資家です。